昨日人工衛星「はやぶさ」が地球に帰還しました。私もUSTREAMでのライブをずっと最期まで見てました。最期閃光となって消滅した時はちょっと泣きそうになりましたが、一技術者として冷静に見届けなくてはいけないと思い冷静に見届けました。
科学技術開発プロジェクトがこのような形で成功して終ることは非常に少ないです。これは現実にプロとして技術者をしている人なら皆分かっていると思います。特に内容が世界一となるようなプロジェクトなら尚更です。ただ、どの技術者もやっている仕事内容に関しては常に世界一を目指していると思うので、これ自体は特に大したことはないです。
今回はやぶさプロジェクトの経緯を見てて思ったのは、結構日本の製造業の実態が良く出てるなと言うことです。いや、既にかつての日本の製造業かも知れません。はやぶさのミッションの経緯の中には何度も絶望的状況がありましたが、それを何とかことごとく回避してきている。その積み重ねが今回の成功に繋がっているとつくづく思います。私もエンジニアを17年以上していますが、プロジェクト毎に結構絶望的状況に会い、そこをかいくぐってきている事実があります。結局技術というのは絶望的状況をいかにかいくぐるかということに他なりません。間違っても完璧な設計を行うことが最重要ではないでしょう。と言うか、無理だからです。と言ってもいい加減にやれと言ってるのではないですよ。スケジュールの許す限り完璧を目指すのは言うまでもないです。でも結局は限られた条件の中で絶望的問題は発生します。それにいかに対処できるかが技術者の能力でしょう。私は技術者の能力を測る方法として、いつもその人が設計ミスや構造的なミスなどで問題に遭遇した時にどのようにリカバリーするのか、と言う点でのみ見ています。これは自分も含めてです。その対応を見れば技術力やそのほかの能力も含めほぼ分かります。ですから、すばらしい設計図が書けるとか、すばらしい仕様書が作れるとか、すばらしいパワポ資料が作れるとかは余興だと思っています。そういう視点で、このはやぶさプロジェクトのメンバーの方々はなかなか優秀だなと思ってます。
あと、今回の成功により日本の技術が高いとか言う表現を多く見かけますが、他の技術に関してもそうですが、技術なんてそもそも国籍はありません。今回のプロジェクトにしてもプロジェクトオーナーはJAXAですが、実際用いられている技術は多岐にわたっているわけですし、当然日本以外の物はたくさんあります。この辺も実際の技術者の方々は十分知っていると思いますが、どうもナショナリズムを出されると未だに違和感があります。昨日の記者会見でもこのプロジェクトが終了した時点から技術の拡散と陳腐化が始まっていると述べていましたね。その通りでしょう。でも、それは決して悪いことではないし、それが科学技術の進化を促すことにもなります。現役の技術者の人たちは常に世界を相手に仕事をしていると思います。だから、プロジェクトオーナーが誰であろうと世界一の成果を求めてやっていると思います。今後のプロジェクトはJAXAがオーナーにはなれないかも知れませんね。ただ、それでも今回のプロジェクトメンバーはどこかのプロジェクトオーナーが雇うでしょう。それが日本の組織でなければならない理由もないです。ただ、やっぱり日本人技術者としてはできれば日本に貢献したいという気持ちもあるのも事実ですが。
ともあれ、このような結果が残せたのは非常に喜ばしいことです。技術者の端くれとしても喜んでいますし、技術者としてのモチベーションを頂けたと感じています。また、このミッションを見た若い人が一人でも多く技術者の道を目指して頂きたいものです。私もほんのわずかでも他の技術者に影響を与えることができるように努力したいと思います。
最後にニコニコ動画に上がっているVocaloid miku の「はやぶさ」を張っておきます。
P.S.
JAXAの予算は例の仕分けで大きく減って3000万ちょっとになってるようですね。元々の予算要求も17億程度だったようです。私から見れば17億でも非常に安く感じますが。3000万なんて今私が所属しているプロジェクトの試作一回分ぐらいにしかなりませんよ。当然試作費だけであって、技術者の人件費は別にしてです。

オレが言いたくて上手く言えなかったことを、的確に表現されてます。そうなんです。結果はウルトラCですが、現場は、普通・当たり前の積み重ねだったと思います。
改めて、素晴しい!と思います。